お手本
お手本
それは、そのことについて知らない人、又は上手でない人に
そのことについて熟知している人が、教える事。
他の言いかたをすれば、「模範」、「見本」であろう。
辞書を引くと、「模範とする書画」と書いてある。
「書画」で私が思う事と言えば、自慢じゃないが
私の字は、昔から汚い事で有名である。
何度自分が書いた字を
「これ何て読むの?」
と聞かれた事か・・・・
子供は「ジャポ○カ学習帳」で字を練習するが、
私は、真剣に「ユー○ャン」の通信講座で字を練習しようか、考えてしまうほどである。
ってか、これって
大人版「ジャポ○カ学習帳」
だと思うのって私だけでしょうか?
そして、字も相当汚いが、絵はもっとすごい。
その輝かしい功績は、義務教育の小学校、中学校だけでは足らず、
高校生までの12年間、
通信簿の美術の欄に「2」以外の数字が入っていたことはなかった。_| ̄|○
ここで、私が記憶している美術の先生に言われた事をいくつか紹介しよう。
私は一生懸命「絵」を描いていた。
下書きも一通り終わり、ようやく絵の具で色つけ作業を開始、
約1時間くらい作業をしていたところ、美術の先生は私の絵を見るなりこんな事を言った。
「あんだも変わった描き方するね〜!!?」
方言の為、理解不能の方に説明すると、
「あなたはすごく変わった描き方をしているね〜!!?」
である。
しかしこれはまだ序の口、
同じく美術の時間、私は風景画を描いていた。
学校の美術の時間のため、校庭や校門の近くに生えている木などを描く学生が多かった。
それまで笑顔で他の生徒が描いている絵を見回っていた先生は私の絵を見た瞬間、思わず立ち止まり真顔になって
こんな事を言った・・・・
「骨折尊・・・・・紙が泣いている・・・・」
先生・・・・今まで黙ってましたが、一つだけ私の言いたい事を言わせてください・・・・
俺だって必死に描いてるんだよ〜!!!!
何も好きで絵が下手な訳じゃない!
上手く描きたくても描けないんだ!
その他にも、完成した私の絵をマジマジと見ながら、
「こんな物の捉え方もあるのか〜!!?」
と先生に感心された事もある。
別に私は、そのような物の捉え方をした記憶は一切無いのですが、
っていうか、普通の物の捉え方をしたかったのですが、出来なかったのです。_| ̄|○
しかしだ・・・
人間の人生というものは何が起こるかさっぱりわからない。
あれは忘れもしない小学校6年生の事
私の絵が、他のクラスの美術の授業で「お手本」として登場したのだ!!!!!
その時の様子を少し再現してみようと思う。
先生は私の絵の他に、もう1枚絵を持っていた。
2枚とも同じ時間、同じ教室で描かれた絵だった。
違うのは描いた人だけだった。
ちなみに、その時描いたのは
「学校の教室で机の上に体育座りで座っている女の子の絵」
だった。
先生はまず、私が描いた方ではない絵をみんなに見せながら、こう言った。
「この人の絵は非常に綺麗ですね。ちゃんと学校の教室で机の上に体育座りで座っている女の子の絵だということがすぐわかりますね?」
先生の発言は教室にいる全員が共感出来た。
先生はそう言い終わると、私が描いた絵をみんなに見せた。
途端にざわめき出す教室・・・
先生はその、ざわめきをかき消すかのように言った。
「判ればいいんだからっ!」
「なんとなく学校の教室でなんとなく机の上になんとなく体育座りで座っているなんとなく女の子っぽい絵だってわかるでしょ!?」
先生の発言は教室にいる全員が、なんとなく共感出来た!?
先生・・・1枚目の絵に比べて、すべての発言の前に「なんとなく」が入っているように思えるのは私だけでしょうか?
実際、この話を全く知らない人に
この絵は何を描いた物でしょう?
と聞いたら、
「たぶん学校の教室で、たぶん机っぽい物の上に体育座りっぽい座り方で座っている、たぶん女の子の絵・・・かな?」
という答えが返ってくると思う。
学生時代、私がお手本になったのは、後にも先にもこれだけだったような気がするが、
出来る事なら辞書に乗っているような意味で「お手本」になりたかったです。_| ̄|○
皆さんも、「お手本」があるからと言って安心してはいけません・・・