幼子の憧れ

〜おさなごのあこがれ〜

 

 

 

 

皆さんが小さいとき、どのような憧れがあっただろうか?

人それぞれ、多種多様な憧れがあり、

憧れが実現した人、

実現に向け努力中の人、

もうすでに憧れは夢へと変わってしまった人、

 

それぞれに今、それぞれの憧れに向かって生きていると私は思う。

ちなみに、私が小さいときに見た映画に影響されたものであるが、

戦闘機のパイロットになりたいと思ったときがある。

 

 

それは、太陽が容赦なく照りつけるコクピットのなか、

敵、見方の機関銃やミサイルが行き交う中

共に戦った仲間と、戦場に突撃する寸前

お互いにもう会えないかもしれないのは十分すぎるほど承知の上

「また会おう!」

お互いがお互いに向け交わす事実上最後の挨拶・・・

 

拳を握り、親指だけを立て、その手を戦友に向ける・・・

無事帰ってこい

という戦友を思う気持ち

これから自分が突入する戦場への期待と不安

生きて帰れる保証の一切無い戦場・・・・

 

その手にはきっとそんな気持ちがこもっているのだろう。

手を友に向けかざしたまま、操縦桿を切る。

それぞれのミッションを遂行するため・・・

 

 

そんな映画を小さいときに見た。

小さいながらに私は思った。

パイロットになりたい!!

 

時は流れ現在

私はパイロットとはまったく関係のない職業に就いている。

いつものように職場で勤務していると、

戦闘機について詳しい先輩と話をする機会があった。

 

戦闘機が操縦桿を切り、急旋回するときにかかる重力はどのくらいか皆さんご存じだろうか?

 

実に9Gもの重力が自分の体にかかるのである。

ピンとこない方のために説明しよう。

 

自分の体重×9(G)=戦闘機が急旋回中にかかる重力

という計算が成り立つ、

私を例に取ると

66kg×9(G)=594kg

つまり、594kgもの重力が自分の体にかかるのである。

そのため、パイロットはその重力に耐えるため

足を踏ん張り、肛門に力を入れ、出来るだけ体を固定するようにコクピットに座るのだという。

また、9Gもの力がかかるため普通に呼吸したのでは、肺に重力がかかり空気が抜けてしまう。

よって、3秒に約1回、瞬時に呼吸をし、肺から空気が抜けてしまうことを防いでいるという。

 

 

話は私が小さいとき見た映画の話に戻るが、

 

拳を握り、親指だけを立て、その手を戦友に向ける・・・

 

が!

 

そんなかっこいい名場面だが、

 

拳を握り、親指だけを立て、その手を戦友に向けている、パイロットの下半身は

 

 

 

足を踏ん張り、必死に肛門に力を入れているのだ!!

 

 

 

言うまでもないが、私の憧れはこの瞬間、儚く砕け散ったのであった。

 

 

 

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